もう一つの Altium Designer

更新: 2017年10月29日

SOLIDWORKS PCB FAQ や SOLIDWORKS PCB Documentation によると SOLIDWORKS PCB は一部に制限が見られるものの、Altium Designer と同等の機能を備えており、ライセンスタイプも Altium Designer と同じ3種類 が用意されています。そしてこの SOLIDWORKS PCB は Altium Designer と同じ方法でインストールと認証 を行い、運用開始後のライセンス管理も Altium Designer と同じ方法で行う事ができます。

評価版を確認したところ、ドキュメントの内容と製品のの機能に食い違いがある事が分かりました。インストールとライセンス認証の方法は Altium Designer とは異なり、オンデマンドライセンスは提供されていません。また機能は Altium Designer と同等ではなく CircuitStudio と同等である事が判明しました。

ただし メニューバーはリボン形式に変更 されており、Altium Designer とは操作性が異なります。

要するに SOLIDWORKS PCB は、操作性が異なるもう一つの Altium Designer という事になります。尤も、ただそれだけなら素直に Altium Designer を買えば良いわけであり、SOLIDWORKS PCB の存在意義はありません。

しかし SOLIDWORKS 3D CAD との連携が必要な場合には、話は変ってきます。

SOLIDWORKS PCB には Altium Designer では 60万円で別売されている SOLIDWORKS PCB Connector が標準装備されており、これを別途に購入する必要はありません。また、メニューが SOLIDWORKS 3D CAD と同じ形式に変更されているため、機構担当者自身が CAD ツールを操作して PCB データーを取り出したりする場合にも便利です。

尤も、3D CADとの連携が必要なら Altium Designer と SOLIDWORKS PCB Connector とをセットで購入すれば良いわけですが、PCB Connector が標準装備の SOLIDWORKS PCB を選べば、余分な出費を避ける事ができます。

これなら Altium Designer に対する選択肢の一つになりそうに思えるのですが、いかがでしょうか?

SOLIDWORKS PCB は CircuitStudio の同等品です。Altium Designer  よりも機能が少ない事に加え、PCB ファイルは Altium Designer  と異なったフォーマットで保存されます。しかし Altium Designer  17 には SOLIDWORKS PCB ファイルのインポーター付いていますので、Altium Designer  に読み込む事は可能です。このような理由により Altium Designer  の同等品ではなく、下位製品としてお奨めします。(追記:2017年10月29日)(訂正:2017年10月31日)

2017年の ALTIUM の業績

2017年 6月末の決算結果の速報に合わせて、投資家向けプレゼンテーション資料 が公開されました。この “Altium Full Year Investor Presentation “という名の資料 によると、Altium 業績は今年もかなり好調のようです。そしてこの資料の公開後 Altium の株価は 10% 以上高騰しました。

この資料では 2012年からの収益(Revenue)の推移がグラフで示されており、毎年 15% 程度の成長を続けている事が分かります。そして今年は 18% 成長しており、2012年からの 5年間で約 2倍の成長を遂げています。

また、2020年に向けて、収益(Revenue)をほぼ倍増させる目指を掲げており、”2020 Target Revenue Breakdown” にはそのブレークダウンが示されています。ここではハイエンド製品 ATINA の 7.5~10% の売上が見込まれており、さらに 5~10%の買収による寄与が見込まれています。

2020年まであと 3年しかありません。今までのペースは 2倍の成長に 5年かかっていましたので、これはかなり背伸びしたものに見えます。この達成にはハイエンド製品 ATINA の早期投入や OEM 販売の強化などにより、購買層の幅をさらに広げる努力が必要になりますが、その戦略の中での SOLIDWORKS PCB のポジションが気になるところです。

SOLIDWORKS PCB のセットアップ手順

更新: 2017年10月29日

これまでに WEB 経由で入手した情報からは、SOLIDWORKS PCB と Altium Designer は殆ど同じ物のように見えます。そこで、インストールや認証方法、さらにプラグインの追加やアップデートの手順についても両者を比べてみました。

SOLIDWORKS PCB には “Installing SOLIDWORKS PCB“というドキュメントが用意されており、これにインストール、認証、プラグインの追加、アップデートなどの手順が記されています。これによると、これらの作業は全て Altium Designer と同様、Altium Portal サーバーに接続して実行し、その一連の手順はすべて Altium Designer と同じです。

ここでは、SOLIDWORKS PCB のドキュメントサイトの記載を引用して解説を行っていますが、実際の製品はここでの説明とは異なり、SOLIDWORKS Installation Manager を使って行うようになっています。(追記: 2017年10月29日)

インストール時には、Altium の使用許諾契約書への同意が求められる

Altium Designer 同様 My Account の画面で認

ただし、プログラムのインストール段階(認証の前)については、この資料に記されている方法以外に SOLIDWORKS Installation Manager を使って行う 方法があるようです。

Altium Designer では Altium Portal サーバーと AltiumLive アカウントを介して多くのサービスが提供されています。SOLIDWORKS PCB  でもプログラムのインストールやライセンスの管理に portal サーバーが利用されていますが、AltiumLive によるサービスが Altium Designer と同等に提供されているかどうかは未確認です。

評価版を試したところ、Altium Portal サーバーには接続せずに利用するしくみになっていました。また Vault ライブラリも利用できませんでした。(追記: 2017年10月29日)

SOLIDWORKS PCB のライセンスタイプ

更新: 2017年10月29日

Altium Designer には、オンデマンド、スタンドアロン、プライベートサーバーの 3種類のライセンスタイプがあります。そして SOLIDWORKS PCB Documentation の FAQ には SOLIDWORKS PCB でも同様に、この 3種類のライセンスタイプが用意されていることが示されています。

ここでは、SOLIDWORKS PCB のドキュメントサイトの記載を引用して解説を行っていますが、実際の製品は以下の解説とは異なりライセンスは SOLIDWORKS 社のサーバーから発行されます。このため、Altium 特有のオンデマンドライセンスは提供されていません。よって以下の解説にについては SOLIDWORKS PCB そのものの紹介ではなく、Altium Designer と比較する為の資料としてご利用いただくようにお願いします。(追記: 2017年10月29日)

SOLIDWORKS PCB Documentation / faq

Altium Designer では、汎用性の高いオンデマンドが一番人気がありましたが、他のライセンスタイプもそれぞれに特徴があり数多く利用されています。例えば、スタンドアロンは、1つのライセンスを職場と自宅の 2台の PC にインストールする事が許可されており、在宅勤務には大変便利です。

SOLIDWORKS PCB でもこの 3種類が用意されています。購入時にどれか一つを選ばなくてはなりませんので、ここでこれらのライセンスタイプについていておさらいをしておきたいと思います。

Altium Designer の 3つのライセンスタイプ

以下は、アンビルコンサルティングが作成した Altium Designer の解説です。SOLIDWORKS PCB のライセンスは Altium の EULA に基づいて提供されるようですので、まずはこの解説の Altium Designer のところを SOLIDWORKS PCB に置き換えてお読みください。

Altium Designer には、スタンドアロン(ノードロック)、プライベートサーバー(ネットワーク)、オンデマンドの 3種類のライセンスタイプが用意されています。このうちの「オンデマンド」は他に余り見られないユニークなものであり、ノードロックライセンスの簡便さとネットワークライセンスの共有機能を兼ね備えた、大変面理なライセンスタイプです。

このオンデマンドではネットワークライセンスと同様、購入したライセンスが置かれているサーバーからライセンスを受け取るしくみになっており、複数のユユザーがライセンスを共有することができます。しかしネットワークライセンスのように社内のLAN上に設置されたサーバからではなく、インターネットを介して Altium のサーバーからライセンスを受け取ります。このため社内にライセンスサーバーを置く必要はありません。また Altium Designer を社外で使用したい場合、インターネットにさえ接続できれば、どこででもライセンスを受け取ること事がでじますので、出張時などには大変便利です。

このオンデマンドでは、インターネットに接続できない場合にはライセンスを受け取ることができず、Altium Designer を利用することができません。しかしこのような場合びために、このネィティブなモードの他にローミングモードが用意されています。このモードに切り替えて一時的にライセンスをローカルにダウンロードすることによって、スタンドアロンと同じようにインターネットに接続できない環境でも利用することことができます。なおこの切替にはインターネットへの接続が必要です。

スタンドアロン(ノードロック)とプライベートサーバー(ネットワーク)は他社製品や Altium の以前の製品と同様ものものです。この両者とも運用時にはインタ-ネットへの接続は不要ですが、インストールと初回の認証、およびプログラムのアップデートの際にはインターネットへの接続が必要です。なお、ライセンスサーバーがインターネットに接続されてない場合には、インターネットに接続されている他の PC を利用して認証することができます。

またこれらのライセンスタイプは、Altium への依頼により、購入後に変更することができます。

しかしライセンスタイプの切替には、製品価格の差額と手数料のご負担が必要になりますので、以下の要点をご確認の上、慎重にお選びください。

・ スタンドアロン(ノードロック)

認証をを終えた後は、インターネットにも LAN にも接続できない環境で使用できます。このため社外への持ち出しが容易です。ただし、基本的には 1台の PC だけにしかインストールがが許可されていませんので、複数の ユーザーの間でライセンスを共有したい場合には、1台の PC を使いまわす必要があります。ただし、自宅での一時使用に限り、同時に使用しないことを条件に 2台の PC にインストールすることが認められていますので同時でなければ自宅と会社の両方で使用することができます。

・ オンデマンド

デフォルトのモードで使用する場合にはインターネットへに常時接続されていることが必要ですが、ローミングモードに切り替えることによりインターネットに接続できない環境でも使用できます。もちろんLAN への接続も不要ですので、社外への持ち出しが容易です。さらに このオンデマンドはインターネット上に設置されたライセンスサーバからライセンスを受け取るシステムですので、複数の PC やユーザの間でライセンスを共有する事ができます。

・ プライベートサーバー(ネットワーク)

LAN に接続された複数の PC でライセンスを共有することができます。認証時以外、インターネットへの接続は不要ですが LAN 上へのライセンスサーバへの設置のが必要であり、Altium Designer を利用する場合には常時 LAN に接続されていなくてはなりません。このため、Altium Designer を社外で使用するのは極めて困難です。なおイレギュラーな用法として、1台の PC に Altium Designer とライセンスサーバープログラムの両方をインストールして、LAN もライセンスサーバも無い環境で使用することができます。ただしこの用法を用いる場合には、ライセンス許諾契約の範囲を超える事は無いように細心の注意が必要です。

さてどれを選ぶか?

ライセンスタイプ ライセンス共有 社外での使用 サーバーPC 常時インターネット
スタンドアロン 困難 容易 不要 不要
オンデマンド 容易 容易 不要 必要
プライベートサーバー 容易 困難 必要 不要

 この 3つのライセンスタイプの特徴を一覧表にしてみましたが、これを見るとオンデマンドライセンスの汎用性が高い事が分かります。

Altium Designer では 3種類それぞれの価格が異なり、ライセンスタイプの変更にはその差額と手数料が必要でした。SOLIDWORKS PCB ではどのようになっているのか不明ですが、少なくともどれか一つを購入時に選ばなくてはならないはずです。

ともあれ、ライセンスタイプについても、Altium Designer と同じである事がわかり、一安心です。

SOLIDWORKS PCB の操作性

更新: 2017年10月29日

Altium Designer と SOLIDWORKS PCB は、いずれも SOLIDWORKS 3D CAD とのシームレスな連携を目指した製品です。 両者はほぼ同じ機能を備えていますが、SOLIDWORKS PCB は、SOLIDWORKS 3D CAD と同じスタイルのユーザーインターフェイスに変更されています。

SOLIDWORKS PCB は CircuitStudio の同等品ですので Altium Designer ほど多機能ではありません。(追記: 2017年10月29日)

SOLIDWORKS PCB のメニューバー

SOLIDWORKS PCB の回路図編集画面

この変更は SOLIDWORKS 3D CAD ユーザーにとっては好ましいものですが、Altium Designer に慣れた回路設計者にとってはあまり有難くはありません。

SOLIDWORKS PCB は 筐体設計との勘合を確認するために、メカ設計者に利用される機会も多いと思われます。しかし実際の PCB 設計は Altium Designer に慣れた回路設計者が行う場合がほとんどですので、不慣れなユーザーインターフェースへの変更は迷惑な話です。そこで SOLIDWORKS PCB の導入に際しては、Altium Designer との操作性が Altium Designer と比べてどれくらい違うのかを事前に確認しておく必要があります。

この SOLIDWORKS PCB 操作性は評価版によって詳細に確認できますが、オンラインドキュメントでもその概要を知ることができます。

SOLIDWORKS PCB の以下のページで Altium Designer との違いを知る事ができます。これらはいずれも SOLIDWORKS PCB Documentation のコンテンツです。

これらを見ると、メニューバーが SOLIDWORKS スタイルに変更されているのがわかります。しかしメニューバーからコマンドを起動した後に表示されるダイアロブボックス等は、Altium Designer そのもののようにに見えます。

これくらいの違いなら、Altium Designer ユーザーが使い慣れるのにそれほどの苦労はいらないように思いますが、どうでしょうか?

SOLIDWORKS PCB の FAQ を読み解く

更新: 2017年10月29日

SOLIDWORKS PCB は、単に Altium Designer のユーザーインターフェイスを SOLIDWORKS 仕様に変更しただけの物であると伝えられています。しかし OEM 製品なので多少は機能が削られているかもしれません。また Altium Designer 独自のライセンスタイプのバリエーションが SOLIDWORKS PCB でも提供されているのか?という事も気のなるところです。

これらについては、SOLIDWORKS PCB の評価版を見ればすぐにわかる事なのですが、まずはSOLIDWORKS PCB のオンラインドキュメントをあたってみる事にしました。

その後、評価版を試したところ、SOLIDWORKS PCB の機能は Altium Designer ではなく CircuitStudio と同等である事がわかりました。またライセンスタイプについてもオンデマンドタイプは提供されていない事がわりました。(追記: 2017年10月29日)

このような時に役に立つのが FAQ (よくあるお問合せ)です。今のところ SOLIDWORKS PCB の FAQ は英語版しか用意されていないようですが、取りあえずこれに目を通してみたところいくつかの貴重な情報を得る事ができました。

FAQs – SOLIDWORKS PCB Documentation

まず冒頭の ” How do I get SOLIDWORKS PCB? “で販売チャンネルについて哲明されています。これによると SOLIDWORKS PCB は SolidWorks リセーラーチャンネルの中の Altium リセーラーを経由してて提供されるとの事です。この文面ですと、全ての SOLIDWORKS 代理店が SOLIDWORKS PCB を取り扱うわけでは無いようです。

次の ” How is the software licensed? ” ではライセンスタイプについて説明されています。SOLIDWORKS PCB でも Altium Designer と同じように、オンデマンド、スタンドアロン、プライベートサーバーの 3タイプあり、オンデマンドではローミングも可能です。また、スタンドアロンでは Altium の EULA(使用許諾契約書)に基づき、自宅で使用する 2台目の PC にインストールして使用する事が許可 されておりこれも Altium Designer と同じです。ここでは何故か、SOLIDWORKS ではなく Altium の EULA に基づいて説明が行われています。SOLIDWORKS PCB は Altium からユーザーに直接ライセンスされるという事なのでしょうか?

評価何を確認したところ、ライセンスの認証システムは Altium とは大きく異なるものでした。ライセンスタイプは SOLIDWORKS の他の製品の同様、スタンドアロンとネットワークタイプが提供されていますが、オンデマンドタイプは提供されていない事が判明しました。(追記: 2017年10月29日)

そして次の ” Do I need to be signed in to my account to use my Standalone license? ” でスタンドアロンライセンスの認証手順が説明されており、これも Altium Designer と同じです。さらに以下の事項について説明されていますが、その内容は Altium Designer の特徴そのものです。

  • Is connection to the Altium Portal secure?
    – Altium Portal の安全性
  • How can I check for updates to the software?
    – ソフトウェアのアップデートの確認方法
  • What component management methodologies are supported?
    – 部品ライブラリの管理方法
  • What do Integrated Libraries offer me, above and beyond standard libraries?
    – 標準ライブラリ以外の部品の供給
  • what about Vault Components?
    – Vault コンポーネントについて
  • How do I get help on commands, dialogs, panels, etc..?
    – コマンドやダイアログのヘルプ
  • What support is available for importing from other design tools?
    – 他機種フォーマットのデザインンファイルの読込
  • Which 3D model formats can I embed/link to the 3D bodies in my designs?
    – 3D ボディとして読込める 3D フォーマット
  • Which CAM output formats does SOLIDWORKS PCB support?
    – サポートされている PCB CAM フォーマットの種類
  • In which formats can I export my PCB?
    – 出力がサポートされている、基板外形データのフォーマット
  • What are SOLIDWORKS PCB’s design limitations?
    – データ容量の制限について

しかし読み書きできる他社フォーマットの種類がいくらか制限されているようです。例えば、読込可能な他機種フォーマットとして、以下が示されています。

  • CircuitStudio PCB Files (*.CSPcbDoc).
  • EAGLE Files (*.sch; *.brd; *.lbr).
  • Mentor xDxDesigner Files (*.prj).
  • Mentor Xpedition Files (*.pcb; *.lib).
  • OrCAD Designs (*.dsn).
  • OrCAD PCB (*.max).
  • OrCAD Design Libraries (*.olb).
  • OrCAD PCB Libraries (*.llb).
  • OrCAD CIS Config File (*.dbc), OrCAD LIbrary Files (*.olb, *.llb).
  • PADS ASCII PCB (*.asc).
  • PADS ASCII PCB Library (*.d).
  • PADS ASCII Logic (*.txt).
  • PADS ASCII Schematic Library (*.c + *.p).

これを Altium Designer と比較すると、対象製品がいくらか制限されている事がわかります。例えば、Altium Designer では このページで解説 されているように CADENCE の Allegro や 図研 CR5000 のデザインファイルを読み込む事ができますが、この SOLIDWORKS PCB の FAQ にはこれらの名が見当たりません。

評価何を確認したところ、Allegro のインポーターが付いていました。(追記: 2017年10月29日)

以上、この FAQs – SOLIDWORKS PCB Documentation を読むと、SOLIDWORKS PCB は Altium Designer とはユーザーインターフェイスが異なり、機能にも制限が加えられた製品である事がわかります。

SOLIDWORKS PCB の紹介セミナー

ソリッドワークスジャパンのサイトで、SOLIDWORKS PCB のセミナー が案内されています。

東京会場でのセミナーは 7月12日に終了しており、引き続き 9月12日に名古屋、9月13日には大阪で開催されます。参加は無料ですが予約が必要です。まだ空席があるようですのでぜお申込みください。

【名古屋】
会場: ウインクあいち(愛知県産業労働センター) 13F 1309(特別会議室D)
日時: 2017年9月12日(火)  14:00 – 16:40

【大 阪】
会場: 明治安田生命大阪梅田ビル 13F 会議室1
日時: 2017年9月13日(水)  14:00 – 16:40

SOLIDWORKS PCB は Powered by Altium の名のもと、Altium Designer に相当する回路図/PCB 編集機能を備えた製品です。保存したデザインファイルは Altium Designer と互換性があり、ネイティブなバイナリデータのまま相互に読み書きする事ができます。

詳細とお申込みは こちら まで

内容更新:2017年 8月17日

SOLIDWORKS について

更新: 2017年10月29日

SOLIDWORKS と SOLIDWORKS PCB

SOLIDWORKS はフランスの Dassault Systèmes SolidWorks Corporation が開発・販売する、メカニカル 3D(3次元)CAD ツールです。

1995年のリリース以来、その豊富な機能と使いやすさが支持され、全世界で 2,000,000 以上のライセンス以上販売されています。また SolidWorks 社ではその主力商品である  3D CAD だけでなく検証のためのシミュレーターなどの関連ツールも販売しています。

さらに 2016 年、SOLIDWORKS 社では Altium 社からの OEM 供給を受け、 Altium Designer と同一の編集機能を持つ SOLIDWORKS PCB の販売を開始しました。

SOLIDWORKS PCB の機能は Altium Designer ではなく CircuitStudio と同等である事がわかりました。(追記: 2017年10月29日)

SOLIDWORKS PCB Powered by Altium

この SOLIDWORKS PCB は 3D CAD と回路/プリント基板設計 CAD との連携を望む多くのユーザーのニーズに応え、 SOLIDWORKS 3D CAD と Altium の PCB CAD(Altium Designer)との統合運用環境を実現した製品です。この製品の開発に先立ち Altium 社との間で OEM 契約が締結 されており、継続的な協力関係により統合環境の更なる進化が期待されます。

SOLIDWORKS PCB 登場の背景

プリント基板(PCB)は部品として筐体に組み込んで使用されますので、そのスペースとの干渉や勘合の確認が必要です。またプリント基板上に実装される多くの電子部品は独自の形状を持っており、これに対しても同様の確認が必要にになります。このような確認作業を高精度、かつ短時間に行う為にはプリント基板のレイアウトと機構設計との間でのシームレスな連携が求められます。

しかし、実際にはプリント基板設計に使われる PCB CAD と機構設計に使用されるメカニカル CAD はそれぞれ異なったメーカーから提供されており、データのフォーマットや操作性の違いにより、どうしても連携に手間撮ってしまいます。

そこで、この不便を解決するために製品化されたのが SOLIDWORKS PCB です。

この SOLIDWORKS PCB では SOLIDWORKS の統一されたユーザーインターフェイスのもと、フォーマットの変換や中間ファイルの介在なしに、PCB 設計と筐体設計との間でデータをやりとりする事ができます。 さらに SOLIDWORKS PCB の PCB と回路図データは Altium Designer のフォーマットで保存されますので、普通に保存したネイティブファイルのまま Altium Designer とデータをやりとりする事がができます。

SOLIDWORKS PCB の PCB ファイルのフォーマットは Altium Designer とは異なっており、互換性がありません。(追記: 2017年10月29日)

このように SOLIDWORKS PCB は  SOLIDWORKS のユーザにとって大変便利な PCB ツールです。しかも Altium Designer と同じ編集機能を備えていますので、高度な基板に対しても機能が不足する事はありません。

Altium Designer 用 PCB コネクタ

SOLIDWORKS 3D-CAD と SOLIDWORKS PCB/Altium Designer とのデータの連携は PCB Connector よって行われます。

この SOLIDWORKS PCB Connector により Altium Designer と SOLIDWORKS の間で、設計者のだれもが PCB 設計中に生じた 基板外形、部品配置、取付穴などの変更を機構設計に反映したり、機構設計での変更を PCB 設計に反映することが瞬時に行えます。また相手から更新の情報を受け取った時、その詳細な内容が表示され、変更を反映するかしないかを選択する事ができます。

この Altium Designer と SOLIDWORKS のコラボレーションのためのデザインデータのやり取りは 、マイクロソフト IIS 上で動作する SOLIDWORKS PCB Services のリポジトリを介して行われます。このためこの連携はローカルなエリアに留まらず、インターネットを介してあらゆる地域のメンバーとの間で、シームレスに行う事ができます。


受け取った変更の内容を確認した後、更新を実行

なお SOLIDWORKS PCB にはこの PCB Connector が標準装備されていますが、Altium Designer では別売りとなっており、SOLIDWORKS の代理店から購入する事もできます。

SOLIDWORKS PCB

更新: 2017年10月29日

SOLIDWORKS PCB の概要

SOLIDWORKS PCB は Altium が SOLIDWORKS 向けに開発し OEM 供給している製品す。このの製品は Altium Designer のユーザーインターフェースを、SOLIDWORKS 向けに変更したもので、Altium Designer と同等の回路図・PCB 編集機能を備えています。

SOLIDWORKS PCB の機能は Altium Designer ではなく CircuitStudio と同等である事がわかりました。(追記: 2017年10月29日)

この SOLIDWORKS PCBは、メカ設計と 電子回路設計との統合環境を目指した製品であり、SOLIDWORKS 3D-CAD との併用により、メカ設計と PCB設計 がシームレスに繋がった CAD 環境を実現する事ができます。さらに SOLIDWORKS PCB の回路図と PCB のデザインデータは Altium Designer と同じフォーマットで保存される為、Altium Designer とのデータのやり取りが容易です。

SOLIDWORKS PCB の PCB ファイルのフォーマットは Altium Designer とは異なっており、互換性がありません。(追記: 2017年10月29日)

SOLIDWORKS PCB と SOLIDWORKS 3D-CAD との連携は SOLIDWORKS PCB に標準装備された PCB Connector によって行われます。このデータのやり取りは、マイクロソフト IIS 上で動作する SOLIDWORKS PCB Services のリポジトリを経由して行われるため、ローカルなエリアに留まらず、インターネットを介してあらゆる地域のメンバーとの間で、シームレスにデータをやり取りする事ができます。

夏季休業日のご案内|2017年 8月

アンビルコンサルティングではお盆の期間中、以下のスケジュールで営業させていただきます。

• 8月10日(木) まで – 通常どおりに営業いたします。
• 8月11日(金) ) – 祝日の為お休みをいただきます。
• 8月12日(土) と 8月13日(日) – (土)(日)の休業日としてお休みをいたします。
• 8月14日(月)から 8月16日(水) – 夏季休業日としてお休みをいただきます。
• 8月17日(木) 以降 – 通常どおりに営業いたします。

では、良いお盆をお迎えください。

Altium|トップブランドへの道のり

Protel の始まりと市場への浸透

Altium(アルティウム)は Protel(プロテル)DOS ツールの投入により創業し、早期に Windows ツールを投入することによって今あるトップブランドの地位を築きました。

DOS版 PCBツールで創業、Windowsで飛躍

Altium(アルティウム)の前身、プロテル社は 1985年ニック・マーティンにより、オーストラリアのタスマニアで設立されました。ニック・マーティンはタスマニア大学の依頼を受け、高価な UNIX ベースの CAD ツールの代用品とし、安価な DOS PCB ツールの開発を始めました。このツールは翌年の 1986年には製品化されオーストラリア国内だけでなく、アメリカやヨーロッパにも輸出されるようになりました。当時この DOS 製品はは米アクセルテクノロジ社(後にプロテルが買収)に OEM 供給され、主にTango ブランドで販売されていました。

その後プロテルは 1991年に Windows で動作する最初の Protel Advanced PCB の出荷を開始し、DOS製品の開発を取り止めました。以後プロテルは Windows ベースの EDA ツールの開発だけに専念し、1992年の末には Protel Advanced Schematic の出荷を始めました。そしてその後プロテルは Windows CAD ツールのラインナップの充実と統合化を実現し、短期間に Windows 統合 CAD ールの業界標準の地位を獲得するに至ります。

さらにその後プロテルは本社をタスマニアから(米国を経て)シドニーに移し上場を果たした後、アルティウムに名社名変更します。そして引き続きハイエンドツールをしのぐ能力を備えた統合 EDA ツールを安価に供給することを目標に開発が続けられ、現在その範囲は FPGA 開発や組み込ソフトウェアの分野にまで広がっています。

成功を決定付けたキーコンセプトと製品

いち早くWindows にフォーカスすることにより「高性能を、安く、使いやすく提供する」という、あたり前の目標に取り組んだという先見性が、その後のプロテルの成功を決定つけたといえます。1991年にプロテル最初の Windows製品がリリースされた当時、MS-Windows はバージョン3.0 と 2.1 のランタイムバージョンが混在して使われていた時代で、ハードウェアも i386 ベースの非力なものでした。普通の人ならとてもこれが CAD のプラットホームに使えるとは考えなかったと思います。実際のところプロテル初期の Windows-PCB は当時主流の DOS製品と比べると、動作が遅く使いづらいものであったのも事実です。それでも Windows へのフォーカスを決めたという決断からは、創業者ニック・マーティン氏の非凡さがうかがえます。

このようにプロテル Windows 第一世代の、Advanced Schematic / PCB のバージョン1.x は時代を先取りしすぎた面もありました。このためマーケットに対しては挨拶代わりになりこそすれ収益には結びつかず、プロテルの経営を圧迫しました。

1993年のプロテル Windows 版のバージョン2.x のリリース後、この状況は一変します。Windows は 3.0 が定着し CPUも i486 が普通に使われるようになります。そしてこのプロテルのバージョン 2.x では機能の改良に加え、ハードウェアプロテクトが取り払われました、そしてその結果プロテル Windows ツールは極めて魅力的な製品に様変わりし、飛躍的に売り上げを伸ばします。そしてその後の 1995年に発売され、プロテルの統合化のさきがけとなった Advanced Schematic / PCB のバージョン3 は全世界で爆発的に売れはじめます。尤もこの頃は、DOS 版のトップブランドである OrCAD に Windows製品が無く、市場に存在する唯一の Windowsツールとしてプロテルが売れて当たり前というのが当時の状況だったと思います。

バージョン3 とEDA/Client、そしてProtel 98

バージョン 3 により現在の、プロテル統合ツールの基盤が確立されたといえます。プロテルのこのバージョンは製品自体も良く売れましたがそれ以上に、EDA/Client という統合プラットホームの開発と、Schemtic、Simulator、PLD、PCB、Route という一連のラインナップが出揃った事による、技術および営業面での意義は多大なものがあります。しかし製品の実用面から見るとまだなだ PC ハードウェアが非力であり、機能よりもレスポンスの良さを求めて、プロテルの古いバージョンを使い続けるユーザも多数存在しました。

そしてその後の 1998 年には、プロテルのバージョン 4 の製品として、Protel 98 がリリースされました。これは、 バージョン 3 のプログラムを 16 ビットから 32 ビットに拡張しただけもので、機能の追加はほとんど行われませんでした。しかしこの結果、動作は安定かつ高速になり、実用性の向上を求めるユーザの大きな支持を得ることができました。またこのバージョンからプロテルの統合化への志向が強まり、回路図エディターなどの単体ツールの積極的なセールスが控えられはじめました。

実用性が向上したこの Protel 98 は、EDA/Client 環境の完成版としての評価が高く、今でも現場で使われているのを見かけます。そしてその後 Protel 99、Protel 99 SE、Protel DXP、Protel 2004 がリリースされ、さらにその後ブランドを Altium に変え、現在も進化し続けています。

日本国内での販売

現在アルティウムのマーケティングは、日本国内の常駐スタッフと株式会社エー・ディ・ティによって行われています。そしてそれ以前はアルティウムジャパン(プロテルジャパンから社名変更)、さらにその前はテクスパートがプロテルの国内の販売元でした。このあたりまでの経緯をご存知の方はおられると思いまが、それ以前にもプロテルは国内販売されていました。最初のプロテルの販売元は、イー・ティ・シーを中心とした 3社連合、次に日商岩井システック、そしてO.I.M、アルマティックと続き、その後テクスパートに辿り着きます。しかしこの間のプロテルの露出度は多くなく、プロテルがエンジニアの目にとまる機会は少なかったように思います。

プロテルがテクスパートへにたどり着いたのは1992年。Wesconで Advanced Schematic 1.0 がプロテルブースに展示されたのがきっかけでした。実質的には、プロテルの日本への上陸はこの時だったといえます。当時、時代はすでに Windows への流れを明確にしつつありました。プロテルの方向性はこの流れに沿うものであり、そのれはゆるぎの無い選択のように見えました。

このときからテクスパートはプロテルの将来性に期待し、持てる限りの体力を振り絞ってプロテルの宣伝を行います。その結果、1年あまり後に販売が開始された Advanced Schematic / PCB 2.0 からは、順調に売り上げが伸び始め、バージョン3 の末期には新規販売だけで毎月 100-150本がコンスタントに売れるようになりました。外部の CAD関係者からは見るとこの状況は、プロテルが飛ぶように売れていると映ったことでしょう。しかし、私たちにはまだその売れ行きに満足してはいませんでした。尤もこれは Windows バブルの頃の話しであり、もう二度とこんなにたくさんに売れる時代はやってこないように思います。

その後の 1998年 4月、Protel 98のリリース直後に、テクスパートからプロテルジャパンにプロテルの販売業務が移管されます。テクスパートはプロテルをベストのポジションで新会社に引継ぐ事に成功し、無事その役目を終えます。この約 3年後プロテルはアルティウムに社名を変更し現在に至ります。

このように振り返ってみると、プロテル社の創業以来すでに 30年を超えており、その間大きな変遷がありました。そして今では初期に活躍した会社もスタッフもほとんどが姿を消しまっています。しかし創業者ニック・マーチンの全てのエンジニアに「ハイエンドの機能をローエンドの価格で提供する」という意思は変わることなく引き継がれており、極めてコスト・パフォーマンスの高い CADツールが提供され続けられています

Altium の足跡

2006 年に登場した Altium Designer 6 から、商品名が Altium Designer に変わり、進化の速度はさらに速まりました。 2012 年以降は年に 1回のメジャーアップデートが定期化し、2016年の末には Altium Designer 17 がリリースされました。

この間 Altium は Windows CAD 先駆者として業界をリードし続けてきており、この Altium の CAD ツールの進化は Windowa CAD ツールの進化そのものであるといっても過言ではありません。

そこでその足跡をまとめてみました。

販売時期
製品・バージョン名
考備
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 – 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版
2006 – 2008 Altium Designer 6 Protel 2004の改良とブランド変更
2008 Altium Designer Summer 08 新戦略 -半年毎のアップグレード
2009 Altium Designer Winter 09 大華な値下げを実施
2009 – 2011 Altium Designer Summer 09 オンデマンドライセンスの登場
2011 – 2012 Altium Designer 10 AltiumLive ライセンス管理の導入
2012 – 2013 Altium Designer 12 Altium Designer 10 の名称変更
2013 Altium Designer 2013 Altium Designer 12 の名称変更
2013 – 2014 Altium Designer 14 フレキシブル基板対応等の新機能
2014 – 2015 Altium Designer 15 xSignal、Gerber X2 の追加
2015 – 2016 Altium Designer 16 配線クリアランスの可視化
2016 – Altium Designer 17 Active Route – 半自動束線配線

 

  • Windows 前夜 – Autotrax と Easytrax
    Protel DOS 版 PCB-CAD ツール

アルティウム/プロテルでは 1991年に最初の Windows 製品である Advanced PCB 1.0 .をリリースするまでは、DOS 製品を販売していました。

1986年に最初の DOS 製品がリリースされた後 1989 年に DOS 世代最後の製品である Autotrax に至るまでにいくつかのバージョンが存在しますが、Autotrax がリリースされるまでは日本に代理店はありませんでした。Autotrax のリリースに合わせて日本に代理店が設定されました。そして日本市場への参入に際して、IBM-PC 版だけでななく PC-98 版も用意されました。EMS がサポートされていたので大きな規模の基板の設計が可能でしたが、データ幅が 16 ビットでしたので、ピン間 3 本に基板の設計はできませんでした。

Windows 版の Advanced PCB がリリースされた後も、Autotrax は DOS Pack の名称で販売が継続されました。DOS Pack は、Autotrax と DOS Schenatc がセットにされたもので、価格は 98,000 円と大変安価に設定されていました。また、リリース直後の Autotrax にはドングルと呼ばれるセキュリティデバイスによるコピープロテクトがおこなわれていました。しかし1993 年に販売が開始された DOS Pack では このドングルが取り払われました。

また、Autotrax の前に PCB 3 という PCB ツールがあり、これが ACCEL 社に OEM 供給され Tango Series I として販売されていました。現在、このAutotrax と その直前のバージョンである Easytrax (おそらく PCB 3 と同じもの)がフリーソフトとしてアルティウム社から無償で提供されており、Altium TechDocs サイトからダウンロード できます。

そしてその後、最後の DOS 製品である Autotrax は Microcode 社にライセンスされ、Microcode 社によって Windows に移植されて TraxMaker という商品名で販売されます。このTraxMaker と Autotrax の PCB ファイルは互換性がありました。

アルティウム/プロテルでは DOS 版の開発を打ち切り、これ以後 Windows にフォーカスされることになり、1991年に世界で最初の Windows PCB ツールである Advanced PCB 1.0 をリリースします。

  • Protel Advanced Schematic/PCB 1.x
    世界初の Windows PCB ツール、初代 Protel for Windows

DOS 版 PCB-CAD の開発を打ち切った後の1991年に世界初の Windows PCB ツールとして Advanced PCB 1.0 がリリースされました。

この Advanced PCB 1.0 のリリース直後、国内では積極的には販売されず、その 翌年の Advenced Schematic 1.0 のリリースと同時に、国内での本格的な販売が始まりました。

Advenced Schematic 1.0 では、 OrCAD SDT のWindows 版というコンセプトが明確に打ち出され OrCAD ファイルを双方向に読み書きすることができました。また画面デザインも非常にセンスよくまとまっていました。しかし残念なことに、OrCAD SDT と同様、回路図上に日本語を書き込むことができませんでした。一方、これと対を成す Advanced PCB はこの頃すでに Ver. 1.5 にアップデートされていました。

Advanced PCB 1.5 では、32 ビットのデータベースによる 0.001 mil の分解能の実現と、無制限のデータベースサイズのサポートにより、極めて精細度の高い基板や大規模な基板の設計が可能になりました。しかし、パッドスタックがサポートされていないことや、Polygon Pourを同一ネットのパターン上に重ねて配置できない点など、プロフェッショナルな用途には不十分な部分も残っていました。また当時のひ弱な PC プラットフォームでは描画速度が遅く、充分なパフォーマンスを得ることはできませんでした。

また、Advanced Schmatic および PCB の双方ともドングルによりプロテクトが行なわれていましたので、IBM PC 用ドングルにアクセスできない PC98 環境では使用することができませんでした。

当時この Advanced Schmatic 1.0 および PCB 1.5 には Protel for Windows というファミリー名が与えられ、ここから 「Windows のプロテル」がスタートしました。

  • Protel Advanced Schematic/PCB 2.x
    実用性が向上した、2代目 Protel for Windows

Protel Advanced Schematic/PCB 2.x は、以前の1.x の改良版として 1994 年の 2 月から 3 月にかけてリリースされました。

新しい回路図エディタ Advanced Schematic 2.0 では、TrueType による日本語、タイトルブロックのカスタマイズ、他の Windows アプリケーションとのクリップボード経由でのコピーアンドペーストが可能になりました。また Advanced PCB 2.0 では、Porigon Pour の改良、パッドスタックのサポート、画面上でのオンライン編集機能、PADS 2000 の読み込みなどが実現しました。またリリース後まもなく、Schematic と PCB の両方ともドングルによるコピープロテクトが廃止され、なんら手を加えること無しに PC 98 環境で使用することが可能になりました。さらに、Advanced PCB から自動機能を省いた Professional PCB という名前の 大変お買得な製品もラインナップされていました。

当時の PC プラットフォームはまだまだひ弱でしたので、安定性や処理速度に不満が残りました。しかし上記のような基本機能の改良により、実用性は大幅に向上しました。

Protel for Windows 2.x は 次の Ver.3 がリリースされるまでの間、0.1 刻みの小刻みなリビジョンアップが繰り返されました。特に PCB では頻繁にアップデートが行なわれ、その結果バージョン番号は 2.8 まで達しました。またこのPCB 2.8フォーマットは、現在の Altium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の PCB データを双方向でやり取りするこができます。

プロテル製品の販売はこの Protel Advanced Schematic/PCB 2.x のリリースによって急速に伸びました。そして、Protel Advanced Schematic/PCB 2.x は 「Windows CAD ツールのリーディングプロダクト」として、 Schematic 3 (1995 年 9 月) とPCB.3 (1997年 2 月)がリリースされるまでの間、大量に出荷されました。

  • Protel Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client
    統合環境を導入した、3 代目 Protel for Windows

Advanced Schematic 3 と Advanced PCB 3 は、従来の Ver.2 の延長線上で改良されたものではなく、 EDA/Client という斬新なシステムをベースにして作り変えられた革新的な製品でした。この EDA/Client はそれまでバラバラに提供されていた複数のEDAツールを一体化するための統合環境であり、これ により異なる種類の EDA ツールを共通のユーザインタフェイスで使用できるようになりました。

従来のプロテル製品では、回路図入力と PCB レイアウトでは、別々のプログラムを起動することが必要でしたが、この新しい EDA/Client が導入されたことのより、一つのプログラムを起動するだけで、回路図入力と PCB レイアウトの両方の作業ができるようになりました。

実際に製品がリリースされたのは、Advanced Schematic 3 が 1995 年 9 月で、OrCAD Capture の最初のバージョンのリリースとほぼ同時期でした。また Advanced PCB 3 のリリースは 1997 年 2 月で、当初の予定より 1 年以上も遅れました。

EDA/Client はツールを統合するだけでなく、カスタマイズ機能も提供しています。このカスタマイズ機能によりメニューの日本語化が可能になったほか、マクロ言語がサポートされ、オルグシステムズからはこのマクロ言語を使ったライブラリプレーサが提供されました。

エディタの編集機能の改良については、Schematic と PCB ではアプローチが異なりました。Schematic 3 では編集機能の改良を最小限にとどめ EDA/Client の新機能によって新規性を創出していたのに対して、PCB 3 ではPCB 編集機能そのものに大幅な改良が加えられていました。

PCB 3 はルールドリブンのシステムに変更され配線機能もインテリジェントに改良されました。しかしその反面非常に動作が遅くなりました。当時、ハードウェアは急速に進化ていましたが、PCB 3 の重量化を補うことはできませんでした。このため描画レスポンスや安定性においては以前の Ver.2.x に一歩譲る面はありましたが、新しい統合環境が受け入れられユーザの数は右肩上がりに増えてゆきました。

なおこの PCB 3 フォーマットは、その後の Altium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。また Protel V3 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので興味のある方はご覧下さい。 Windoes PCB-CAD 導入ガイド  Protel V3 サポートドキュメント

  • Protel 98 と Advanced Schematic/PCB 98
    統合化への方向性を明確にした EDA/Client の完成形

Protel 98 と Advanced Schematic/PCB 98 は 1998 年 2月にリリースされた、Protel Ver.3 の改良版です。このバージョンでは、今まで独立していた Advanced Route 3 が EDA/Client のサーバとして組み込まれた事以外には新たな機能の追加は行なわれず、プログラムの 32 ビット化とバグの修正にに焦点が絞られました。

その結果、Protel V3 よりも安定かつ高速に動作するようになりました。表面的には極めて地味な新バージョンでしたがその堅牢さが受け入れられ、10 年たった今でもまだ多く使われています。

一方、マーケティング面においてはこのリリースを機に個別ツールから統合ツールへの転換が開始されました。商品名にもこの方針が反映され、統合版にProtel 98 という社名を冠した商品名が与えられました。そしてこれを主力商品とし、個別ツールは Protel 98 のサブセットという位置づけになりました。

なお Portel 98 のファイルフォマットは Protel Ver.3 から変更されていません。この Portel 98 で使用されている PCB 3 フォーマットは、現在の Altium Designer 6 でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。また Protel 98 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので必要な場合にはご覧下さい。 Protel 98 製品仕様  Protel 98 サポートドキュメント Protel 98 当時のカタログ

  • Protel 99 と Protel 99 SE
    ポータビリティの良い DDB 統合データベースが導入されたロングセラー

Protel 99 は 1999 年 4月にリリースされ、同年の 12 月に 99 SE にアップデートされた後、2005 年の 3 月末までの 6 年間にわたり販売 が続けられました。後継の Protel DXP や Protel 2004 がリリースされた後も販売が続けられた超ロングセラーモデルです。

この製品は以前の Prtoel 98 のマイナーチェンジではなく、統合プラットフォームが大きく変更されされたほか、新たに伝送線路シミュレータが追加された新製品です。

Protel 99 の統合環境は EDA/Client から Design Explorer に変更され、これに合わせて Microsoft Jet エンジン を利用した新しい統合データベースが導入されました。この新しいデザインデータベース(DDB)は全てののデザインデータを一つのデザインデータベース保存できるため、大変ポータビリティが良い反面、ファイルが壊れた場合全てのデータを失うという危険性もありました。またJet エンジンのアクセスコントロール機能を利用したプロジジェクト管理機能が備えられていました。

Protel 99 に新たに加わった伝送線路シミュレータは旧 INCASES Engineering 社の SI Workbench を組み込んだもので、現在の Altium Designer 6 と同等のものです。また、アナログ/デジタル混在シミュレータは以前用いられていた Dolphin Integration 社の SMASH から Microcode の XSpice 3f5 ベースのものに変更されました。

また回路図エディタ、PCB とも編集機能の改良は旧製品に対する上位互換が維持されており、旧製品のユーザであれば違和感無く使用できました。また部品シンボルに Unique ID 属性が追加され、デザインデータ間相互のリンクが強化されました。これにより回路図と PCB との間のデータの受け渡しがネットリストファイルではなく、Update – PCB/Schematic のコマンド操作によって行なわれるようになりました。またこの製品から、ロングファイル名と日本語ファイル名がサポートされたことも見逃せません。

そして 1999 年 12 月の Protel 99 SE へのアップデートでは、それまで要望が強かった層数の追加が行なわれ、信号層が 16 から 32、内層プレーンが 4 から 16、メカニカル層が 4 から 16 に増やされました。この 99 SE へのアップデートはマイナーチェンジとして扱われ、Protel 99 ユーザに無償提供されました。

また、この製品はライセンスがピア・トゥ・ピアでフローティングするように作られており、全てのユーザにフローティングライセンス仕様の製品が提供されました。また、統合版を購入しても Schematic/PCB 等の個別ツールのライセンスをバラバラに使用できましたので、設計者が作業を分担する場合には大変便利なものでした。

マーケティング面では、より明確に統合ツールへの方向性が打ち出されました。例えば回路図エディタの商品名は、従来の Advancrd Schematic 98 から Protel 99 Schematic に変更され、個別の回路図エディタ は Protel 99 統合ツールのサブセットとしての位置付けがさらに明確化されました。

長期間販売されたこの Protel 99 SE には極めて多くユーザが存在しますので、Altium Designer では Protel 99 SE のデザインデータベース(DDB)と個別ファイルとの互換性に対しては、磐石なサポートが提供されています。

なおアルティウムジャパンではこの製品のサポートを終了しましたが、サポートドキュメント の提供は続けられています。

  • Protel DXP と Protel 2004
    大量に投入された新技術により飛躍的な進化を遂げた革新的な製品

Protel DXP ファミリーは、FPGA ハードウェアやソフトウェア開発ツールを始めとする、有力企業の買収で取得した技術を投入して開発されました。

また Protel DXP は、洗練された統合環境である DXP プラットフォーの導入により、ただ単にツールの種類を増やしただけのものではなく、ツール間における相互の緊密な連携が可能な一体化された製品にまとめられています。しかしその一方この Protel DXP 世代では、 回路図エディタをはじめとする 個別ツールがラインナップから外されました。

この流れはその後の Protel 2004 世代にも受け継がれ、アグレッシブに開発が続けられました。そして Nexer-Protel 2004 で基板設計と FPGA ハードウェア/ソフトウェア開発ツールを一体化した統合開発環境が完成します。そしてさらに改良が続けられ、Altium Designer 6 へと進化していきまます。 Protel 進化論 – Protel 2004 と 99 SEとの違い  Protel DXP サポートドキュメント Protel 2004のサポートドキュメント

  • Altium Designer 6
    名実ともに Protel から Altium へ移行

前作の Protel DXP/2004 では、DXP プラットフォームや FPGA 開発環境の統合化などにより、プロテルツールは大きく進化しました。しかし、回路図エディタと PCB ツールの基本機能である作図や配線、そしその画面表示機能については大きくは改良されてはいませんでした。

この 作図/配線/表示機能を大きく進化させ、従来のプロテルツールとは大きく異なる製品としてブランド名が Protel から Altium に変更されたのがこの Altium Designer 6 です。

この Altium Designer 6 では、マニュアル配線に半自動モードが追加になり始点と終点だけのクリックにより、配線を完結できるようになりました。また差動ペアをサポートする配線機能が多数追加されています。さらに配線パターンにネット名が表示されるようになり、エデイターとしての基本機能が大きく進化しました。

このバージョンからは商品構成が変更され、現在の基本セットと拡張セットの形じ一歩近づきました。そしてこれにあわせて値上げが行われ、高性能をそれに見合った価格で提供するという路線にシフトしました。

この Altium Designer 6 は Summer 08 がリリースされるまでの 30ヶ月以上にわたっって販売されました。そしてその末期の Altium Designer 6.8 では新しい SD 表示機能が追懐され立体画像による PCB の断面や実装状態の表示が可能になり、メカニカル CAD と連携能力も飛躍的に向上しました。

このように、Altium Designer 6 では 大幅な改良とプランド名の変更により、名実ともに Protel から Altium はの移行が行われました。 Protel から Altium Designer へ

  • Altium Designer Summer 08
    ハイエンドを志向した、更なる多機能化と価格の上昇

このバージョンでは前作 Altium Designaer 6 以来のハイエンド志向に基づいて、さらなる多機能化が図られています。また商品構成の変更とともに値上げが行われ、拡張セットのフローティング版が、約250万円に達しました。

機能的に全く新しいものは多くありませんがそれでも Design Insight機能と呼ばれる、デザイン情報をビジュアルに取得・表示する機能や Output JOB による部品表 の PDF 出力、3D のよるオンライン DRC、Allegro の読込機能など、なかなか盛りだくさんの新機能が提供されています。またこのバージョンのリリースにあわせて Innovation Station のコンセプトのもと、 FPGA 開発環境の充実が図られました。

またこのバージョンでは、これらの新機能に加え商品構成も変更され、ラインナップは現在の、基本セットと拡張セットの 2種類に集約されました。

さらに、アップグレードのスキームにも新しくなり 1年に 2回の新バージョンの提供が約束され、これにあわせてバージョン名も”Summer 08″ となり 2008年の夏のリリースであることを直接表現するという形になりました。

そして、記憶に新しのはこのリリースの直後に起こったリーマンショックと、間接販売への移行です。今まで行われていた、アルティクムジャパンからの商品の直販は取りやめられ、全て代理店による間接販売に移行しました。 Altium Designer は “6” から “Summer 08” へ

  • Altium Designer Winter 09
    Summer 08 のマイナーなアップデート

Winter 09 は年 2回のアップグレードの約束が履行され Summer 08 のリリース後、約半年でリリースされました。しかしその内容は、期間が短かったた事もあり目立った新機能はほとんど無く、Summer 08 のマイナーアップデートに近いものでした。とはいうものの、すぐに役立つ実用的な新機能もいくつか含まれており、Digi-Key などのディストリビューターも持つ部品データーベースとのリンク機能が提供され、価格などの最新を自動的に Altium Designer から出力される部品リストに反映させることも可能になりました。

この Winter 09 のリリースでは、これに前後して実施された販売体制とキャンペーンが、衝撃的ともいえる大きなインパクトを与えました。Winter 09 のリリース直後の 2月には、かねてより進められていた間接販売への移行が終わり、 五反田にあったアルティウムジャパンの事務所が突然閉鎖されました。これはまさに晴天の霹靂でした。そして、翌月の 3月にはにわかには信じがたい 180,000円という超低価格で Winter 09 にアップグレードできる、衝撃的なキャンペーンが開始されました。このキャンペーンはどのような旧バージョンからでも定価の 10分の 1以下の価格で Winter 09 拡張セットを入手できるというもので、リーマンショックの影響による売上げの落ち込みを一気にカバーできるほとの成功を収めました。

このように、Winter 09 は価格上昇により Altium から離れかけていた旧 Protel ユーザーを一気にひき戻すバージョンでもありました。

  • Altium Designer Summer 09
    新しいライセンス認証システムの導入と大幅な値下げ

この Summer 09 でもは年 2回のアップグレードの約束が履行され Winter 09 のリリース後、約半年でリリースされました。開発期間が短かいわりには新機能が多く、メカニカルレーヤが 16層追加され合計32層に増えた他、アセンブリーバリアントにより、仕向け地や製品のバリエーションによよる仕様の違いを、単一のドキュメントに反映させることができるようになりました。

また、エディタの新機能よりも利便性に影響を与えたのは、新しいライセンス管理システムとオンデマンド・ライセンスタイプの導入であるといえます。クラウドコンピューティングを大幅に取り入れ、インターネットにさえ接続で切れば、1つのライセンスを世界中のどこにいても共用することができるようになりました。

さらに、この Summer 09 では従来の約 5分の 1という大幅な値下げが行われました。このことはライセンスが 5倍売れなければ値下げ前の売上げを維持できないことを意味し、当時それはありえないことのように思われました。しかしこれはうれしい誤算であり、意外にも売上金額は増加しました。このように Summer 09 は爆発的とも言える売上げを記録し、結果的にはこの値下げは成功しました。

またこのリリースにあわせて、安価な FPGA 開発ボードとして Nanoboard 3000が用意されました。

この Summer 09 はその後 2年半以上メジャーアップグレードは行われず、2011年の 3月まで Summer 09 pまま販売は継続されました。

  • Altium Designer 10
    クラウド技術を多用した新しいプログラム管理システムの導入

Summer 09 以降、年に 2回のアップグレードスキームは消滅し、この Altium Designer 10 はSummer 09 から 1年半以上経過した 2011 年 3月にようやくリリースされました。

高速回路に対する対応や束線配線機能などの編集機能が強化されていますが、主な新機能として充実した機能を持つドキュメント管理機能が提供されました。

またこの Altium Designer 10では、Altium Designer プログラム中に、プラグインの追加と更新のための専用ページが設けられ、プラグインの追加/削除とプログラムのアップデートを全てここで行うようになりました。この機能を利用でして、毎月アップデートが提供されるようになり、Altium Designer 12 に移行しりまでの間 18回のアップデートが提供されました。

このようなシシテムの変更により従来アシュアランスと呼ばれていた保守契約の名称が、サブスリプションに変更され、契約によって生じるアップグレードの権利が精密に管理されるようになりました。また AltiumLive アカウントによりライセンスの一括管理が可能になりました。

  • Altium Designer 12
    Altium Designer 10 の名称変更

Altium Designer 10 以降は毎月小刻みなアップデートがくりかえされようになり、新バージョンにあわせて新機能が提供されるいう従来の仕組みは消滅しました。よってこの Altium Designer 12 はAltium Designer 10 以降 18回のアップデートにより、大きく進化した事を証明するための名称変更のようなものであり、Altium Designer 10 の最後のリビジョンと Altium Designer 12 の最初のリビジョンは、全く同じリビジョンです。

このAltium Designer 12 は 2012年の 5月にリリースされた後も毎月のアッデートにより進化し続けましたが、2013年 2月の Update 25 以降は Altium Designer 2013 に名称が変更されました。

  • Altium Designer 2013
    Altium Designer 12 の名称変更

Update 25 のリリースにあわせて、名称が Altium Designer 12 から Altium Designer 2013に変更されました。これは Altium Designer 12 に移行後 7回目のアップデートとなり、この Update 25 での主改良点として以下の 6点がアナウンスされています。

  • PCB オブジェクトとレイヤ透過設定
  • ポリゴン用のOutline verticesエディタ
  • ポートの高さとフォントコントロール
  • Smart PDFドキュメントへのコンポーネントパラメータの追加
  • Microchipタッチコントロールのサポート
  • DXPプラットフォームの改善

また、この Altium Designer 2013 では値上げが行われ、3月18日から新価格が適応されました。

  • Altium Designer 14
    フレキシブル基板対応など多くの新機能

Altium Designer 14 ではフレキシブル基板のサポートや基板内に部品の埋め込みが可能になるなど多くの機能強化が行われ、レーヤースタックマネージャーがこれらの新しい基板構造のサポートしたものに一新されました。

この Altium Designer 14 はその後、14.1→14.2→14.3 とアップデートされ Altium Designer 15 がリリースされた後も更新が継続されました。また Altium Designer 14.3 ではプログラムが DVD ではなく USB メモリで提供されるようになりました。

  • Altium Designer 15
    xSignals による高速回路のサポート

セグメント単位で、高速デサインルールの設定が可能な xSignals が新に導入された他、次世代のガーバーフォーマットである Gerber X2 と IPC-2581 がサポートされました。さらに長方形角穴のサポートや Solder Mask Expansion の拡張などなど CAM 寄りの機能も進化しました。

  • Altium Designer 16
    配線中のクリアランス領域をリアルタイムに表示

3D STEP モデルが簡単に作成できる Wizard が追加された他、エンベデッドボードアレイが改良されました。また穴図に穴径誤差の記入、PADS Logic への回路図の出力が可能になりました。

  • Altium Designer 17
    Zuken(図研)cr5000インポーターを装備

BGA の束線配線が可能な ActiveRoute™ 半自動配線機能、インテジェントなベタエリア編集が可能な Dynamic Copper 機能などが追加された他、Zuken(図研)cr5000インポーターが標準装備されました。

アンビルコンサルティングのルーツ

アンビルコンサルティングのスタッフが CAD の販売を始めてから、もうかれこれ 四半世紀になります。今は Altium 専門店を営んでいますが、ここに至るまでには幾多の変遷がありました。

プロテルの販売が軌道に乗ってから数えても、20年以上経過しています。この間いろいろな製品の販売にチャレンジしてきましたが、今ふり返るとプロテルを開始してからよりも、それ以前の数年間の方が多彩で、変化に富んでいたように思います。

まず写真をご覧下さい。

1990年代始め頃のミドルクラスの製品

これらの販売から私たちの CAD ビジネスが始まりました。

この頃はほとんどが DOS ベースの製品でしたがMaxRoute だけが Wiindows (2.1)で動きました。

これは1990 年代はじめの頃の写真です。そしてここに写っているのが、私たちがプロテルを始める前の主力商品です。これを見て、ピンと来る人はかなりのベテランです。おそらく大方の人にとっては、見たことも無いものばかりだと思います。

 

この写真には、CAD システムを構成するハードウェアとソフトウェアが並んでいます。

前列には5.25 インチのフロッピーディスクが見えます。このころの外部記憶媒体としては、まだ 5.25 インチのフロッピーディスクが主流でした。フロッピーディスクはこの後、DOS から Windows への移行に合わせて、一気に 5.25 インチから 3.5 インチに切り替わったように記憶しています。後にプロテルの輸入を始めたころには、すでにメディアは 3.5 インチに切り替わっており、Advanced Scematic や PCB では、最初または初期の段階から 3.5 インチのメディアが使われたように記憶しています。

また、各製品のフロッピーディスクの前には 4 角いコネクタのようなものが置かれています。これはドングルと呼ばれるプロテクトデバイスであり、これをパラレルポートに差し込まないと、プログラムが起動しませんでした。

ここに写っている商品は、後列左から、

  1. Qualstar の MT 装置。 http://www.qualstar.com/
    これは、Gerber データを MT でやり取りするときに必要でした。1250 BPI と 6500 BPI の 2種類がありました。
  2. テクスパート製 T486 パーソナルコンピュータ。
    当時英語版 DOS ソフトウェアのプラットフォームとして安心して使用できる PC が入手しにくい状況でした。このため使用パーツを厳選して組み立てたオリジナル PC をCAD 用として提供していました。この PC ケースには当時はまだ無名であった Antec 社の製品を選びました。
  3. CRT モニター
    写真に写っているのは三洋電機製のものですが、機種の選定はお客さまにお任せしておりました。

続いて前列左から、

  1. Qualster MT 装置のドライバー/ユーティリティ(MT 装置の添付物)
  2. PADS PCB (16 ビット ソフトウェア。メーカは PADS → Mentor )
  3. MaxRoute オートルータ (メーカは Masstek → OrCAD → CADENCE )
  4. PC Gerber / ECAM (メーカは CSI → ACT → PADS → Mentor → )

これらのソフトウェアは今でこそメジャーな存在になっていますが、当時はまだ無名であり、まだこれらのソフトウェアを輸入販売しているところは他にありませんでした。ただし PADS は例外で、すでの 5 社の代理店があり混戦状態でした。

私たちはこれらの全ての CAD ソフトウェアに対して、英文マニュアルの全文が翻訳された日本語マニュアルを用意しました。当時の私たちは、日本語マニュアルの無い製品を販売するなどということは許されないことだと思い込んでいましたので、労をいとわずマニュアルの翻訳に注力しました。

しかし当時の外国製 CAD ソフトウェアでは日本語マニュアルが皆無に近い状態でしたので、翻訳の依頼や、マニュアルだけを購入したいという引き合いが数多くありました。これを受け、PADS Software 社からの依頼で、その後の PADS2000 マニュアルの翻訳も行いました。 またECAM の日本語マニュアルについては当時の大手 CADメーカ様にもご利用いただきました。

最前列に写っているのは、Omnikey Ultra と Logitech マウスです。当時のキーボードやマウスは、いかにも「コストダウンしました!」と言わんばかりのものが多く、このようなチープなものを避けると選択肢はそれほど多くありませんでした。Omnikey Ultra はAlps 製メカニカルキースイッチを使っていたのでキータッチが良く、また DIP スイッチでキー配列が変更できるなど多機能でした。また机の上で安定させるために金属のおもりが入れられているなど、他に類を見ない贅沢な仕様の製品でした。

ざっと振り返ってみましたが、この頃の PC-CAD 業界は、今よりももっと活気があったように思います。この後 Windows の時代が到来し、PC-CAD が本格的に普及しますが、CAD ベンダーの数やツールのバリエーションはむしろ、MS-DOS 全盛のこの頃の方が豊富でした。そして、私たちにとって、このような活気あふれた時期にCAD ビジネスに参入できたことは、大変幸運なことでした。

この Windiws 前夜の状況を回想録の形で以下のページにまとめてありますので興味のある方はご覧ください。

カテゴリ:ルーツを辿る

この後ハイエンドを含め、業界全体がわき目も振らず Windows に向いました。

Protel DXP と Protel 2004 の記憶

大量に投入された新技術により飛躍的な進化を遂げた革新的な製品

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

Protel 99 のリリースが 1999年 3月で、Protel DXP のリリースが2002 年の年末ですので、その間は 4年近くあいています。アルティウムではその間いろいろな事がありました。

この間に起こった主な出来事として、ACCEL Technologies, Inc(P-CAD)の買収 、Metamor Inc(FPGA論理合成技術)の買収 、TASKING グループの買収(エンベッデッドソフトウェア開発環境)、プロテル(Protel International Limited)からアルティウム(Altium Limited )への社名変更 などがあげられます。

このようにこの間には、有力企業の買収がアグレッシブに行なわれています。、そしてこれらは「次世代の Protel ファミリーの開発のために行なわれた」と言えます。またこの企業買収よる最も大きな成果は、FPGA ハードウェアとソフトウェアの開発ツールの技術を手に入れたいれたことでした。

そしてProtel DXP ファミリーはこれらの企業買収で取得した技術の投入に加え、より洗練された統合環境であるDXP プラットフォームを導入することによって開発されました。その結果この新しい Protel DXP はただ単にツールの種類を増やしただけのものではなく、ツール間における相互の緊密な連携が可能な一体化された製品になりました。しかしその一方で、従来の回路図エディタや PCB エディタなどの、個別ツールの販売が取り止められました。

この流れはその後の Protel 2004 世代にも受け継がれ、アグレッシブに開発が続けられました。そして Nexer-Protel 2004 で基板設計とFPGA ハードウェア/ソフトウェアを一体化した統合開発環境が完成します。そしてさらに改良が続けられ、Altium Designer 6 へと進化していきまます。

このように、大きく進化した Protel DXP なのですが、市場への浸透は意外に緩やかなものでした。良くも悪くも根を張るほどに定着した Protel 99 SE との違いがあまりにも大きすぎたというのがその原因なのではないかと思います。これを補うためか、Protel 99 SE は Protel DXP はおろか Protel 2004 がリリースされた後もしばらく販売が継続されました。

プロテルは 1995 年のEDA/Client の導入をかわきりに統合一直線に進んできましたが、それもついにここまで来たか…というのが正直な感想です。 技術を持った企業を買収すれば機能を増やすのは簡単なことかも知れませんが、それを統合し魅力的な商品にまとめ上げる事は至難の業です。それを可能にしたのが新しく導入された DXP プラットフォームです。そしてそのコンセプトと基本技術がすでに 1995 年のEDA/Client で確立されていたという事実を思い起こし、その先見性と開発力に今まさらながら驚いています。

Protel DXP およびそれ以降の製品については今でもWEB サイトから、多くの情報が入手できますので興味のある方はご覧下さい。

プロテル進化論Protel から Altium Designer 6 へ
Protel DXP サポートドキュメントProtel 2004 サポートドキュメント

Protel 99 と Protel 99 SE の記憶

ポータビリティの良い DDB 統合データベースが導入されたロングセラー製品

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

1999年 4月に無印の Protel 99 がリリースされ、同年の12月に99 SEにアップデートされた後、2005年の3月末までの6年間にわたり販売が続けられました。後継の Protel DXP や Protel 2004 がリリースされた後も販売が続けられた超ロングセラーモデルです。

この製品は以前の Prtoel 98 のマイナーチェンジではなく、統合プラットフォームが大きく変更されされたほか、新たに伝送線路シミュレータが追加された全くの新製品です。

Proel 99 の統合環境は EDA/Client から Design Explorer に変更され、これに合わせて Microsoft Jet エンジン を利用した新しい統合データベースが導入されました。この新しいデザインデータベース(DDB)は全てののデザインデータを一つのデザインデータベース保存できるため、大変ポータビリティが良い反面、ファイルが壊れた場合全てのデータを失うという危険性もありました。またJet エンジンのアクセスコントロール機能を利用したプロジジェクト管理機能が備えられていました。

この新しい統合環境には短所もありました。ことに手軽に使える回路図エディタを求めている人にとって Design Explorer とDDB ファイルはいかにも大げさすぎるように思われました。

この DDB デザインデータベースについては私どもの社内でも賛否両論があり、いくどもその有効性についての議論がかわされました。しかし製品の信頼性が向上するにつれ急速にその評価は高まり、その有効性を疑問視する声はしだいに聞かれなくなりました。

Protel 99 に新たに加わった伝送線路シミュレータは旧 INCASES Engineering 社の SI Workbench を組み込んだもので、現在のAltium Designer 6 と同等のものです。また、アナログ/デジタル混在シミュレータは以前用いられていたDolphin Integration 社の SMASH から Microcode の XSpice 3f5 ベースのものに変更されました。

また回路図エディタ、PCB とも編集機能の改良は旧製品に対する上位互換が維持されており、旧製品のユーザであれば違和感無く使用できました。また部品シンボルに Unique ID 属性が追加され、デザインデータ間相互のリンクが強化されました。これにより回路図とPCBとの間のデータの受け渡しがネットリストファイルではなく、Update – PCB/Schematic のコマンド操作によって行なわれるようになりました。またこの製品から、ロングファイル名と日本語ファイル名がサポートされたことも見逃せません。

そして1999年12月の Protel 99 SE へのアップデートでは、それまで要望が強かった層数の追加が行なわれ、信号層が 16 から 32、内層プレーンが 4 から 16、メカニカル層が 4 から 16 に増やされました。この SE へのアップデートはマイナーチェンジとして扱われ、Protel 99 ユーザに無償提供されました。

また、この製品はライセンスがピア・トゥ・ピアでフローティングするように作られており、全てのユーザにフローティングライセンス仕様の製品が提供されました。また、統合版を購入しても Schematic/PCB 等の個別ツールのライセンスをバラバラに使用できましたので、設計者が作業を分担する場合には大変便利なものでした。

マーケティング面では、より明確に統合ツールへの方向性が打ち出されました。例えば回路図エディタの商品名は、従来の Advancrd Schematic 98 から Protel 99 Schematic に変更され、個別の回路図エディタ は Protel 99 統合ツールのサブセットとして位置付けがさらに明確にされました。

長期間販売されたこの Protel 99 SE には極めて多くユーザが存在しますので、Altium Designer ではProtel 99 SEのデザインデータベース(DDB)と個別ファイルとの互換性に対しては、磐石なサポートが提供されています。

なおアルティウムジャパンでは Protel 99 SE サポートを終了しましたが、サポートドキュメント の提供 は続けられています。

Protel 98 の記憶

統合化への方向性を明確にした EDA/Client の完成形

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

名前のとおり 1998年 2月にリリースされた、Protel V3 の改良版です。このバージョンでは、今まで独立していた Advanced Route 3 が EDA/Client のサーバとして組み込まれた事以外には目立った機能の変更は行なわれず、プログラムの32ビット化とバグの修正にに焦点が絞られました。

その結果、Protel V3 よりも安定かつ高速に動作するようになりました。表面的には極めて地味な新バージョンであるにもかかわらずその堅牢さが受け入れられ、10年たった今でもまだかなり使われています。

一方、マーケティング面においてはこのリリースを機に個別ツールから統合ツールへの転換が開始されました。商品名にもこの方針が反映され、統合版にProtel 98 という社名を冠した商品名が与えられました。そしてこれを主力商品とし、個別ツールはProtel 98 のサブセットという位置づけになりました。

また、個別ツールから統合版 Portel 98 へのアップグレードを安価に設定することにより、統合版 Portel 98への誘導が図られました。その結果 Portel 98 へのアップグレードの注文が殺到し、リリース後2ヶ月間の Portel 98の 売上げはそれまでの半年分に相当する金額に達するほどでした。(日本国内の状況)

このように Protel 98 では、マーケティング面でも統合ツールに誘導する為の施策が施され、Protel 98 での 統合路線への転換は成功を収めました。

一方個別商品に目を向けて見ると、競合商品である OrCAD Capture の改良が進んだことで、回路図エディタの選択枝が広がってきているという状況でした。Windows版回路図エディタはプロテルしかないという時代はすでに過ぎ去っており、回路図エディタの売上げを維持するためには何らかの施策が必要な状況でした。

なお Portel 98 のファイルフォーマットは Protel V3 から変更されていません。この Portel 98 で使用されているPCB 3 フォーマットは、現在のAltium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。

また Protel 98 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので興味のある方はご覧下さい。
EDA/Client Protel 98 製品仕様 Protel 98 レポートドキュメント

3代目 Windows 版プロテルの記憶

EDA/Client 統合環境を導入した第3世代の Protel for Windows

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

3代目 Windows 版の Advanced Schematic 3 と A dvanced PCB 3 は、従来の Ver.2 の延長線上で改良が加えられたものではなく、 EDA/Client という斬新なシステムをベースにして作り変えられた新製品です。

EDA/Client はそれまでバラバラに提供されていた複数のEDAツールを一体化するための統合環境であり、これにより異なる種類の EDA ツールを共通のユーザインタフェイスで使用することを可能にするものです。

例えば従来のプロテル製品では、回路図入力とPCBレイアウトでは、別々のプログラムを起動することが必要でしたが、この新しいシステムでは EDA/Client を起動するだけで回路図入力とPCBの両方の作業が可能になります。この事は複数の種類の仕事をする場合でもツールの使い分けが不要になることを意味します。このシステムはその後も改良が続けられツールを統合する為のプラットフォームとして今に引き継がれています。

このシステムの導入に際しては、開発初期の段階から関係者に対してコンセプトの説明やプロトタイプによるデモが行なわれました。初期の段階では EDA/OSという仮称が与えられており、まさにベンダーの垣根を越えた共通のプウラットフォームを目指していました。私達はこのコンセプトの先見性に感銘を受け、あらためてプロテルの将来性を確信しました。そして日本のユーザに対して製品リリースの 1 年近く前から EDA/Client のコンセプトの訴求を始めました。

実際に製品がリリースされたのは、Advanced Schematic 3 が1995年 9月で、OrCAD Capture の最初のバージョンのリリースとほぼ同時期でした。 また Advanced PCB 3 は1997年 2月であり、当初の予定より 1年以上も遅れユーザの皆様には多大のご迷惑をおかけしました。

EDA/Client はツールを統合するだけでなく、カスタマイズ機能も提供しています。このカスタマイズ機能により、メニューの日本語化が可能になったほか、オルグシステムズからはマクロ言語を使ったライブラリプレーサが提供されました。

エディタの編集機能の改良については、Schematic と PCB ではアプローチが異なりました。Schematic 3では編集機能の改良を最小限にとどめ、EDA/Client によって提供される機能によって新規性を創出していたのに対して、PCB 3 では編集機能そのものに大幅な改良が加えられていました。

PCB 3 はルールドリブンのシステムに変更され配線機能もインテリジェントに改良されました。しかしその反面非常に動作が遅くなりました。当時はハードウェアの進化とソフトウェアの重量化がいたちごっこをしているような状況でしたが、PCB 3 の重量化はハードウェアの進化で補うことはできませんでした。

当時のWindows プラットフォームには、このシステムは少し重すぎたように思います。このため描画レスポンスや安定性においては以前の Ver.2.x に一歩譲る面はありましたが、新しい統合環境が受け入れられユーザの数は右肩上がりに増えてゆきました。

このAdvanced Schematic 3 と A dvanced PCB 3 の投入は営業的にも満足すべきものでしたがそれ以上に、現在でも使い続けれれている先進的な統合環境と、ルールドリブンシステムの導入に成功したことの意味は大きいのではないかと思います。

なおこのPCB 3 フォーマットは、その後のAltium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。

また Protel V3 についてはまだ WEB 上にコンテンツが残っていますので興味のある方はご覧下さい。
Windoes PCB-CAD 導入ガイド Protel V3 サポートドキュメント

2代目 Windows 版プロテルの記憶

実用性が大きく向上した 2 代目 Protel for Windows

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

1994年の2月から3月にかけてリリースされたWindows for Windows 2.0 は、以前の1.x の改良版と位置づけられる製品であり、この製品の出現によりそれまでの努力が実を結び始めました。

この新しい回路図エディタ Advanced Schematic 2.0では、TrueType による日本語、タイトルブロックのカスタマイズ、他のWindows アプリケーションとのクリップボード経由でのコピーアンドペーストが可能になりました。また Advanced PCB 2.0 では、Porigon Pour の改良、パッドスタックのサポート、画面上でのオンライン編集機能、PADS 2000 の読み込みなどが実現しました。またリリース後まもなく、Schematic と PCB の両方ともドングルによるコピープロテクトが廃止され、なんら手を加えること無しに PC 98 環境で使用することが可能になりました。

当時の PC プラットフォームはまだまだひ弱でしたので、安定性や処理速度に不満が残りました。しかし上記のような基本機能の改良により、実用性は大幅に向上しました。

当時のラインナップはつぎのとおり。
・ Advanced Schematic 2.x 120,000 円 – 148000 円
・ Advanced PCB 2.x   398,000 円
・ Professional PCB 2.x   198,000 円

Advanced Schematic は価格改定とキャンペーンによる価格変動がありましたが、120,000 円で販売されていた時期が最も長かったように記憶しています。またProfessional PCB はAdvanced PCB から自動機能を省いた製品であり今思うと大変お買得な製品でした。

当時の競争相手は、Schematic が OrCAD 、PCB が Tango という構図でした。しかし OrCAD には Windoiws 版はなく、Tango は Protel より出遅れていたにもかかわらず大変高価でした。このため、プロテルはシリアスな競争にさらされることはなく、Windows CAD のリーディングブランドとしての地位を得ることができました。

そしてこのポジションを磐石なものにするため、広告宣伝の強化のサポート製品の整備を進めました。トランジスタ技術誌への広告は、従来の1ページから2ページ見開きに増やしました。広告やカタログのレイアウトにおいても、当時のプロテルのカンパニーカラーである黄色を多用し極めて目立つような配色にこころがけました。またサードパーティからもプロテルをサポート商品が次々と現れ、最終的には次のようなものが出揃いProtel for Windows 2.x の販売を後押ししました。

・ FontMan
・ オルグシステムズの TechLib-SCH 回路図シンボルライブラリ
・ CAD サービスの回路図シンボルライブラリ
・ 明光電子の PCB フットプリントライブラリ
・ 部品表太
・ RSI トランスレータ
・ MaxRoute
・ CCT SPECCTRA
・ HyperLynx BoardSim
・ ECAM / CAM350
(これらには1.0世代から存在していたものも含まれています)

Protel for Windows 2.x は 次の Ver.3 がリリースされるまでの間、0.1 刻みの小刻みなリビジョンアップが繰り返されました。特に PCB では頻繁にアップデートが行なわれ、その結果バージョン番号は 2.8 まで達しました。またこのPCB 2.8フォーマットは、現在のAltium Designer 6でも読み書きがサポートされていますので、両者の間で PCB データを双方向でやり取りするこができます。

プロテル製品の販売はこの Protel for Windows 2.x のリリースによって急速に伸び、浜松の大手電子楽器メーカに大量にも採用されるなど、旧テクスパート地元のお客さまにもご愛顧いただきました。

Protel for Windows 2.x は名実ともに 「Windows のプロテル」の地位を得、 Schematic 3(1995年 9月) とPCB.3 ( 1997年 2月)がリリースされるまでの間大量に出荷されました。

初代 Windows 版プロテルの記憶

世界初の Windows PCB ツール

販売時期 製品・バージョン名 備考
1991 – 1993 Advanced Schematic/PCB 1.x Protel 最初のWindows 版製品
1993 – 1995 Advanced Schematic/PCB 2.x Schematic/PCB 1.x の改良版
1995 – 1998 Advanced Schematic/PCB 3.x EDA/Client 統合環境の導入
1998 – 1999 Protel 98 Schematic/PCB 3 の32ビット化
1999 Protel 99 DsignExplorer 統合環境の導入
2000 – 2005 Protel 99 SE Protel 99 の改良版
2003 – 2004 Protel DXP DXP 統合環境の導入
2004 2005 Protel 2004 Protel DXP の改良版

 

プロテルはDOS 版 PCB-CAD の開発を打ち切った後、1991年に世界初の Windows PCB ツールとして Advanced PCB 1.0 をリリースします。

当時の私たちのビジネスは PADS-PCB ツールの販売が主力であり、まだプロテルの輸入販売元としての業務を行なっていませんでした。私たちが輸入販売元としてプロテルの Windows ツールの販売を開始したのは、1993年1月の EDA TechnoFair からです。しかし主力においたのははPCB ツールではなく、回路図エディタの Advanced Schematic でした。

プロテルの代理店になることを決めたのはこの前年の1992年の末です。アナハイムの Wescon ショーで展示されていた Advenced Schematic に感銘を受けその場で代理店になることをきめました。当時の私たちは Advenced Schematic が業界標準になることを確信しており、 プロテルビジネスに投資する事に対して何の懸念もありませんでした。

この Advenced Schematic では、 OrCAD SDT(DOS)のWindows 版というコンセプトが明確に打ち出され、そのコンセプトが適確に実現されていました。またその端正な面構えと Windoes 標準に忠実に準拠したセンスの良いユーザインタフェイスに一目惚れし、もうこれ以外には何も目に入らないほどの状態でした。一方 PCB エディタの Advanced PCB はこの頃すでに Ver. 1.5 にバージョンが上がっていましたが、いまひとつ魅力を感じることができませんでした。

とにもかくにも私たちは、この Protel の取り扱いを機に積極的な販売戦略を策定/実行し、 PCB 設計業者から CAD 販売業者への転換を始めました。いま当時の状況を振り返ってみると、その後の Protel ビジネスの骨格がこのころ確立されたことがわかります。

・ VAR 販売チャンネルの設定
・ 流通販売チャンネルの設定
・ 雑誌広告を毎月掲載
・ 年 4回のニュースレター(Tech Express)の定期送付
・ 年2回のトレードショーへの出展
・ 回路図とPCBの国産部品ライブラリの提供
・ カタログの大量配布

とにかく OrCAD という巨人が目の前に立ちはだかっていたわけですから、OrCAD の Windows 版が出る前にいかに知名度を上げ、販売実績を残すかということが差し迫った課題でした。当時の私たちには「何が何でも プロテルを公衆の面前に露出させる」という、執念めいた想いがあったように思います。

これらの戦略の実行にあたっては、資金不足以外に大きな障害はありませんでしたが、いくつか想定外のこともありました。特に流通チャンネルを通じて全国にカタログを配布する場合、最低でも 10,000枚くらい用意しないといけないことがわかり、流通販売チャンネルの設定後、それまでの 10倍以上の量のカタログが必要になりました。

当時はまだ誰もプロテルの名前を知らないわけですから、まず知名度を上げることが必要でした。そこで直近の微々たる売上げに努力するりもまず、メディアへの物量の投入によりブランドを露出させることを優先しました。このために、雑誌広告やカタログに はプロテルのロゴを大きく目立たせると共に Advenced Schematic が OrCAD互換であることを明示し、OrCAD のWindows 版というコンセプトを強く訴求しました。

そしてこのような営業努力の結果半年後くらいには、いくらかプロテルの存在が認知され始めました。また製品の能力に対してもおおむね良好な評価を得ることができ、少量ながらもコンスタントに売れ始めました。

余談になりますが、このころ国内最大手の PCB-CAD ベンダー様から Advanced Schematic の引き合いがあり、研究用見本として 1本お買い上げいただきました。 開発/設計現場だけでなくCAD 業界にも Protel の存在が認知され始めたことを実感させる出来事でした。

機能面においては Advanced Schmatic 1.0 の特徴である OrCAD 回路図とライブラリの読み込みと書き出し機能、およびWinmdows に準拠した洗練されたユーザインタフェイスは大変好評でした。しかし残念なことに、回路図上に日本語を書き込むことができませんでした。

一方 Advanced PCB 1.5 では、32ビットのデータベースによる 0.001 mil の分解能の実現と、無制限のデータベースサイズのサポートにより、極めて精細度の高い基板や大規模な基板の設計が可能になりました。しかし、パッドスタックがサポートされていないことや、Polygon Pourを同一ネットのパターン上に重ねて配置できない点など、プロフェッショナルな用途には不十分な部分も残っていました。

また、Advanced Schmatic および PCB の双方ともドングルにより不正コピーに対するプロテクトが行なわれていましたので、IBM PC 用ドングルにアクセスできないPC98 環境では使用することができませんでした。このためサードパーティからPC98 用プロテクトキーインターフェイスボードを調達することにより、PC98 環境での動作を実現しました。

当時このAdvanced Schmatic および PCB には Protel for Windows というファミリー名が与えられました。この初代 Protel for Windows は当時のひ弱なPC プラットフォームでは充分な能力を発揮することはできませんでした。しかし Windows のトレンドに対する整合性は完璧でした。このため、 「Windows のプロテル 」というブランディングには最適な商品であり、Windows CAD 市場に絶好のコンデションで船出することができました。

プロテル DOS製品の記憶

Windows 前夜の製品である、プロテルのDOS版PCB ソフトウェアに関わる記憶をたどってみました。

Windows PCB-CAD の先駆者として知られるプロテルも、1991年に最初の Windows 製品である Advanced PCB 1.0 .がリリースされる前は、DOS製品を開発し販売していました。

1996年に最初の DOS 製品がリリースされた後 1989年にDOS 世代最後の製品である AutoTrax に至るまでにいくつかのバージョンが存在しますが、 AutoTrax 以前には日本に代理店はありませんでした。 プロテルはこの AutoTrax のリリースに合わせて日本に代理店を設定し、日本市場への参入に際してIBM-PC 版だけでななく PC-98版も用意しました。

Windows 版の Advanced PCB がリリースされた後も、Autotrax は DOS Pack の名称で販売が継続されました。DOS Packは、AutoTrax と DOS Schenatc がセットにされたもので、価格は 98,000円と大変安価でした。また、リリース直後のAutotrax にはドングルと呼ばれるセキュリティデバイスによるコピープロテクトがおこなわれていましたが、1993年に販売が開始された DOS Pack以降 このドングルは取り払われました。

また、AutoTrax の前に PCB 3という PCB パッケージがあり、これが Accel 社に OEM 供給され Tango Series I として販売されていました。その後Accel 社は自社開発によるTango Series I I に移行します。この Tango Series I I と Autotrax との間には一見大きな違いは無いように見えました。しかしTango Series I Iには Autotrax には無いマニュアルポリゴンの配置機能がありましたので、アナログ基板設計では、使えるか使えないかの判断の分かれ目になり得るくらいの大きな差があったかも知れません。

余談ですが現在、このAutotrax と その直前のバージョンである Easytrax(おそらく”PCB3″=”Tango Series I” =”Easytrax”)はフリーソフトとしてアルティウム社から無償で提供されており、以下のページからダウンロードできます。

http://techdocs.altium.com/display/ALEG/Freeware+downloads

また、Autotrax はその後、当時のMicrocode社にライセンスされます。そしてMicrocode社によってWindows に移植され、TraxMaker という商品名で販売されます。このTraxMaker は機能および PCB ファイルとも Autotrax 寸分違わず、まさに Windows 版 Autotrax そのものでした。

当時のDOS製品は、データ幅およびアドレッシングの両方で 16ビットの制限を受けていました。Autotrax はレイアウトデータおよびプログラムとも 16ビットでしたが、EMS がフルサポートされていたので大規模な基板の設計もできました。一方、ほぼ同時期に日本に上陸した PADS は レイアウト後のフットプリントデータを EMS エリヤに置けず、大規模を設計することができませんでした。

その後 PADS はこの制限から逃れるため、 PharLap の 386DOS-Extender を利用した 32 ビット版である PADS 2000に移行します。一方プロテルにも Phenix というコードネームの次世代 DOS プロジェクトがあったようでしたが、結局DOS版はこれで打ち止めにになり、これ以後 Windows にフォーカスされることになりました。そして1991年にリリースされたのが世界で最初の Windows PCB ツールとして有名な Advanced PCB です。 

このWindows 版への移行の後も Autotrax とは双方向の互換性が保たれており、Advanced PCB 2.8まではAutotrax ファイルの読み込みはもちろんのこと、保存もできたように記憶しています。

後にプロテルの国内販売元になったテクスパートは、当時 PADS を使って基板設計を始めたばかりであり、プロテルと運命を共にすることになろうとは夢にも思っていませんでした。