Altium 社 FY18 の業績

Altium 社との代理店契約がが終了し、Altium Designer の販売を取り止めてから 2年以上経ちましたが、四半世紀に渡り Altium と共に歩んできた当方にとって、Altium 社の動向は未だに他人事ではありません。

最大の関心事はその業績ですが、ここのところ株価が急上昇しており極めて好調である事が伺えます。そこで、先月公開された  FY18(2017年 7月から 2018年 6月まで)の投資家向け報告書 に目を通したところ Altium の業績の伸はさらに加速しているようです。

この報告書には、前期と比較し売り上げが 24% 増え、さらに売上総利益(Gross Margin)34% 増えた事が報告されています。また他の指標にも著しい改善がみられます。

さらにこの報告書では今後のビジョンにも触れられており、2020 年には売上ベースのシェアで、MENTOR と CADENCE を追い抜き PCB CAD 業界でトップの座を獲得するという見通しが示しされています。ちなみに現在は国内最大手の図研を抑え、業界第 3位のようです。

Altium の強みは何といっても「PCB CAD 専業」である事です。半導体市場向けのツールが主力の MENTOR や CADENCE とは違い Altium は 全てのリソースを PCB CAD の開発に振り向けられるからです。

Altium はこの PCB CAD への特化と、アスリートを思わせるような製品開発に対する果敢なチャレンジによって、MENTOR と CADENCE を追い抜こうと目論んでいます 。

Altium 社 2017年 6-12月期の業績

Altium 社の 2017年 6-12月期の業績が報告されています。

報告書によると、何と前年同期比 30% の売り上げ増が達成されています。また他の指標も著しい改善を示しており、Altium の成長が今まで以上に加速している事が分かります。

ただ、祖利益率に最も大きな改善が見られ、ライセンスや保守の販売数量だけでなく、製品販売価格の値上げが業績に大きく寄与している事が分かります。このため、このような高成長いつまで維持できるのかが気になるところではありますが、今年は咋年末に行われたた Altium Designer の 64ビット化と NEXUS の新発売による業績の後押しが期待できますので、大きく失速する事は無さそうにも思えます。

ちなみに、この 3割成長の報告を受け Altium の株価は 1日で 25% 以上上昇しました。

Altium NEXUS がリリース

Altium のハイエンド PCB-CAD として開発が進められていた NEXUS が遂にリリースされました。リリース日は 12月15日。バージョンは 1.0.9 で、すでにプログラムの配布が始まっています。

Altium がハイエンド市場への参入を最初に表明したのは、2014年の夏(Altium Limited Investor Presentation August 2014)でした。。その後 3年以上経ち、ようやく先週、NEXUS の名で 姿を現しましたので、さっそくその正体を知るべく ドキュメントを当たってみました。そしてその結果、 NEXUS の CAD 編集機能は Altium Designer と同等であり、両者の違いはチームデザイン機能の有無である事が分かりました。

ドキュメントサイト Altium NEXUS Documentation の New in Altium NEXUS では冒頭で NEXUS と Altium Designer の違いが説明されています。ここには、NEXUS の回路図と PCB の編集機能/ユーザインターフェイスは Altium Designer と同しであり、NEXUS には Altium Designer では提供されない Altium Vault 技術によるチームデザイン機能が含まれると書かれています。そして NEXUS ではローカル(オンプレミス)な環境だけではなくクラウド環境でも Vault が利用できるようになるそうです。

そして、Altium Vault は NEXUS のプログラムの一部として内蔵され、Altium Vault の単体販売は行われなくなるとの事です。さらに Altium Designer 18 以降は Altium Vault が使えなくなり、
Altium Vault の保守期間中のユーザーは NEXUS に無償でアップグレードできるそうです。

以下は New in Altium NEXUS 冒頭部分の翻訳(機械翻訳そのまま)です。

Vault

Altium Designer 18. 0以降は、オンプレミスの Altium Vault に接続できなくなります。 Vault の顧客とユーザーは、Altium NEXUS に切り替えることができ、完全なデータの完全性と機能の維持によって既存の Vault にシームレスに接続する事ができます。 アクティブメンテナンス契約を結んでいるお客様には追加料金はかかりません。上記のように、Altium NEXUS と Altium Designer 18.0 の回路図とPCBの機能、ユーザーインターフェースは同一です

スタンドアロン製品として Altium Vault 3.0 が新しい機能を備えた最後のリリースになりますが、Vault テクノロジは Altium NEXUS のコア部分として進化し、進歩し続けます。 近い将来、Altium NEXUS は、コラボレーション、データ管理、およびプロセス管理のための新しい機能を公開する独自のサーバーを提供します。 これらの新しい機能は、Vault のテクノロジの統合と継続的な開発だけでなく、最近の Ciiva、Perception Software などのAltium 買収によって可能になりました。

Altium NEXUS の紹介

Altium NEXUS は、エンジニアリングチームが自信を持ってコラボレーションするために必要な透明性を提供するように設計された、実装が容易なチームベースの PCB ワークフローソリューションです。 Altium NEXUS には、回路基板を作成するために必要な様々な業界をリードする PCB ドメインエディタがすべて含まれていますが、その核となる DNA は設計チームが共同で作業することを可能にしています。

ユーザーの役割と管理されたデータ(ライブラリとデザイン)を通じて設計コラボレーションが可能になると同時に、プロセスの自動化と一般的な電子設計活動やワークフローを構成するフレームワークを提供します。これにより、ロールベースの通知によって、データの変更やワークフローの状態を設計する組織の透明性が提供されます。 Altium NEXUS を使用することで、企業はPCBデータを管理し、多分野のエンジニアリングに関連したコミュニケーションを改善し、既存の手作業を置き換えるワークフローを設定し、自動化することができます。短い期間。

Altium NEXUS 1.0 は、PCBデータ管理、設計コラボレーション、プロセスおよびワークフロー制御の新技術を導入し、統合と展開のリスクを回避しつつ、最も包括的な基板設計ソリューションを提供します。 Altium NEXUS には、オンプレミス(Altium Vaultと同じ)またはクラウド(以前は利用できなかったオプション)環境のいずれかでホストされているコラボレーション、プロセス管理、およびデータ管理をサポートするサーバ技術が含まれています。 Altium NEXUS のコアスケマティックとPCB設計技術は Altium Designer 18.0 のものと全く同じで、設計能力の 100% を共有しています。

FAQ を併せてご覧ください。

このように、NEXUS の回路図/PCB編集機能は Altium Designer と同じである事が分かりましたが、これは NEXUS で開発された技術が Altium Designer にも反映された結果です。よって NEXUS が Altium Designer 並みなのではなく、「Altium Designer が NEXUS のレベルに進化した」と理解すべきだと思います。

Altium Designer 18 がリリース

Altium Designer 18 がリリースされました。リリース日は 12月15日、バージョンは 18.0.9 です。

ホームページはすでに Altium Designer 18 に差し替えられており、” New in Altium Designer 18 ” では動画で新機能が紹介されています。

このページで紹介されている Altium Designer 18 の新機能は 事前に予告 されていたものと変わりませんが、それだけでなく、旧バージョンとの処理速度の違いが数値で示されており、パフォーマンスが大幅に向上している事が分かります。これを見ると、軒並み 5倍くらい速くなっていますが、なんとガーバー出力では 156 倍に高速化されています。

CAD ツールが機敏に動作する事により、設計者のストレスは低減し作業能率は向上します。先進的な機能を使わない場合でもこのパフォーマンス向上の恩恵を受ける事ができますので、万人にとっては新機能もむしろこちらの方が重要なのでなないかと思います。

この Altium Designer 18 はすでにダウンロードが可能です。

ダウンロードページでは、同時にリリースされた Altium NEXUS もダウンロード可能になっています。Altium NEXUS のインストーラーのサイズは Altium Designer と同じ 1.2 MB です。さらに NEXUS のバージョン番号は 1.0.9 となっており、下の桁の  .0.9 は Altium Designer と同じです。この事から Altium Designer と NEXUS は共通化が図られており、同時進行で開発が行われている様子が伺えます。

また、Altium Designer 18 の評価版の配布も始まっています。ただしこの試用期間は 15日となっており従来の 30日から半減しています。15日間ではあまり詳しく調査できませんが、Altium Designer の既存ユーザーが改良点を確認するだけならこれで充分かも知れません。

そしてこの 新バージョンの価格が気になるところですが、価格表は公開されておらず Press Release でも触れられていません。その一方で検索ページに現れる広告では、695ドルから利用可能となっており、安さが強調されています。

しかしこの 695ドルというのはあまりにも安すぎますので、おそらく月単位で期間を制限した利用期間の短いライセンスなのでは無いかと思います。

なお Altium Jpan は 来年 1月に開催される第47回 ネプコン ジャパン – ロボ デックスに出展し、この Altium Designer 18 と Altium Nexus を展示します。

Altium NEXUS 間もなく登場

Altium のサイトで “NEXUS” という名の新製品がアナウンス されています。

この “NEXUS” の名が FPGA 分野以外で語られた事は無くまさに唐突な出現でしたが、どうやらこれは以前からハイエンド CAD として開発が進められていた “ATINA” の名称が変更されたものようです。

説明に目を通すと、ハイエンド製品らしく極めて多機能です。大まかには、Altium Designer に Altium Vault を統合し、PDM や PLM 等のチームデザイン機能を強化したもののように見えます。

また、Altium Designerの互換性について以下のように説明されています。

NEXUS と Altium Designer のデザインは 100% 互換性があり、内部と外部の共同作業者と完全に信頼できる形で共有できます。 NEXUS には、既存の Altium Vault サーバを NEXUS クライアントとシームレスに連携させる「Vault 互換モード」があります。

なお NEXUS の概要を、メインサイトの Altium NEXUS で紹介していますので併せてご覧ください。

地力の向上が望まれている Altium Designerに対して、基本的な編集能能力がどれくらい進化しているのかが気になるところですが、これについては実機に試してみないとわかりません。

なお、価格やリリース日はまだ発表されていません。いずれにせよ Altium Designer のユーザにとってこの “NEXUS” は、目を離せない存在であることに間違いはありません。

Altium Designer 18 近日発売

Altium Designer 18 の近日発売がアナウンスされています。

Altium Designer 10 以降は、年に 1回のメジャーアップデートが恒例化しており、今回のアナウンスもこのスケジュールに沿ったものです。そして、専用サイト Altium Designer 18 | Coming Soon では、動画と簡単な説明により新機能が紹介されています。

以下は、このサイトで紹介されている Altium Designer 18 の新機能です。これらの新機能に加え、全体的にグレーを基調とした配色のデザインに変更されており、高級感が増して います。

  • 相互に接続されたマルチボード設計環境

    相互に接続されたマルチボード環境で包括的なネット管理が行われ、強化された3Dエンジンによって、よりリアルに筐体とマルチボードアセンブリを高速にレンダリングできる。

  • 近代的なインターフェイス・エクスペリエンス

    新しい一貫性のあるユーザーインターフェイスによって、直感的な操作と、デザインワークフローの比類なきビジュアライゼーションを可能にする設計環境を提供。

  • 強力なPCBデザイン

    64ビットアーキテクチャとマルチスレッドタスクの最適化により、大規模で複雑な基板の設計をより短時間に終え、リリースする事が可能。

  • 高速かつ高品質のルーティング

    ビジュアルコンストレイントとユーザガイドオートメーションにより、複雑なトポロジの接続をレイヤーをまたいで配線することができます。これにより、人手による品質の配線をコンピュータの速さで行う事が可能。

  • リアルタイム BOM 管理

    BOMにリンクされている最新のサプライヤパーツ情報により、独自のタイムラインで設計上の意思決定を行うことが可能。

  • シームレスな PCB ドキュメントプロセス

    すべての実装図と参考図を単一の一貫性のある設計環境で文書化し、簡単なボタン操作により、リンクされたソースデータから最新情報の反映が可能。

この新バージョンでは、プラットフォームが従来の DXP から X2 に変更されています。この X2 プラットフォームは、開発中の上位機種 ATINA(NEXUS に名称変更されて近日発売予定)に用いられているものであり、おそらく DLL として組み込まれる他のプログラムも ATINA (NEXUS)と共通化されているものと思われます。

またこの新バージョンではビジュアル的にも変化が見られ、ロゴも新しくなっています。リリース日はまだ発表されていませんが、Altium Designer 17の発売 は 昨年の11月中旬 でしたので、もうそろそろ出て来るのではないかと思います。

なお、この Altium Designer 18 はすでにベータ版の配布が始まっており AltiumLive アカウントがあればダウンロードできます。そこで早速インストールしてみたところ、無事プラグラムを起動する事ができ、今までとは異なるダークグレーを基調とした配色の画面が現れました。

ただしこれを利用するには、サブスクリプション期間内のライセンスで認証する事が必要です。

今回は 64 ビット OS 環境への最適化と NEXUS との共通化の為に、基本的な部分が大きく変わっていますので、このベータ版を使って早めに調査を開始した方が良いかも知れません。

2017年の ALTIUM の業績

2017年 6月末の決算結果の速報に合わせて、投資家向けプレゼンテーション資料 が公開されました。この “Altium Full Year Investor Presentation “という名の資料 によると、Altium 業績は今年もかなり好調のようです。そしてこの資料の公開後 Altium の株価は 10% 以上高騰しました。

この資料では 2012年からの収益(Revenue)の推移がグラフで示されており、毎年 15% 程度の成長を続けている事が分かります。そして今年は 18% 成長しており、2012年からの 5年間で約 2倍の成長を遂げています。

また、2020年に向けて、収益(Revenue)をほぼ倍増させる目指を掲げており、”2020 Target Revenue Breakdown” にはそのブレークダウンが示されています。ここではハイエンド製品 ATINA の 7.5~10% の売上が見込まれており、さらに 5~10%の買収による寄与が見込まれています。

2020年まであと 3年しかありません。今までのペースは 2倍の成長に 5年かかっていましたので、これはかなり背伸びしたものに見えます。この達成にはハイエンド製品 ATINA の早期投入や OEM 販売の強化などにより、購買層の幅をさらに広げる努力が必要になりますが、その戦略の中での SOLIDWORKS PCB のポジションが気になるところです。